AIIBとは?日本はどう関わっているのか

AIIB(アジアンインフラ投資銀行)という言葉が使われ始めてきました。一見難しそうな用語ですが、実際にAIIBとは何なのでしょうか?今回は、AIIBの歴史と現状、そして日本がどのように関わっているかを解説していきます。

AIIBとは?

AIIBの歴史

AIIBとは、Asian Infrastructure Investment Bankの略称で、中国主導のアジア太平洋地域におけるインフラ整備を支援する国際金融機関です。

AIIBは2013年10月APEC首脳会談において中国の習近平国家主席によって提唱されました。そして、習近平政権の唱える「一帯一路」を支えるものとして、2015年に正式に設立されました。

「一帯一路(いったいいちろ)」とは何でしょうか。「一帯」とは、中国西部からヨーロッパへと続くシルクロード経済ベルトのことを指します。そして「一路」とは、中国から東南アジア、スリランカ、アラビア半島、アフリカを結ぶ「21世紀海上シルクロード」を指します。つまり「一帯一路」とは、陸と海から中国とヨーロッパを結ぶ経済圏を指し、インフラ設備投資や金融、貿易投資により、産業を活性化させようという構想のことです。

中国としては、AIIBの設立は、アメリカ主導の環太平洋経済連携協定(TPP)への対抗であるとともに、リーマン・ショック後に肥大した国内の生産力を消化させる目的もありました。

2015年創設時は、中国をはじめ、韓国、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピンなどアジアを中心に57ヵ国が創設メンバーとして発足しており、その後欧州や中南米の国からの加盟が増え、2019年5月時点では97か国に拡大しています。

もともと、アジア諸国では長年深刻な投資資金不足に悩まされていたため、AIIBの唱えるインフラ整備を支援するという案を拒む理由はありませんでした。そのため2015年はじめはAIIB参加国のほとんどが支援を受けるアジア諸国が名を連ねておりました。

しかし、2015年3月に開かれたG7(主要7ヵ国会議)で英国が参加を発表し、その後ドイツやイタリア、フランスのヨーロッパ先進国が参加方針を示しました。この発表により、AIIBが国際的に信用力のある国際金融機関として体裁が整いました。

日本がAIIB不参加の理由

ADB(アジア開発銀行)との違いは?

ADB(アジア開発銀行)とは、アジア・太平洋地域における貧困削減を目指す、67ヵ国の加盟国からなる国際開発金融機関のことをいいます。1966年に発足し、日本は設立準備時から参画している原加盟国として、米国と並び最大の出資国です。現在も、様々なプロジェクトやプログラムにより、途上国への支援をしています。

また、アジア開発銀行の歴代総裁は全て日本人で、融資承認など業務の意思決定のは12人の理事からなる「理事会」が行い、日本からも理事が選出されています。

AIIBは、既存の国際機関とは異なり、今や世界第2位の経済大国になった中国が影響力を保持した国際機関といえます。

日本がAIIB不参加の理由

中国側はADB(アジア開発銀行)運用のノウハウをもつ、米国や日本にはAIIBへの加盟を求めていますが、AIIBは対米の構図をなしていたため、同盟国の日本としては米国の意に沿い、加盟を拒否していました。

不参加の理由は、米国と同盟国であるからというだけではありません。AIIBという国際機関のガバナンスの問題、つまり信用に欠けるといった課題があるため、日本は参加に慎重になっているのです。

AIIBにはコスト面の考慮からADB(アジア開発銀行)のような常駐理事会をもっておりません。つまり、意思決定が総裁(中国当局)の裁量で行われてしまう可能性が考えられます。そのため出資をしてもお金がどう使われているのかわからなくなってしまう不透明さを懸念しています。2018年1月の参院本会議では、安倍首相は「(AIIBは)公正なガバナンスを確立できるのか、借り入れ国の債務の持続可能性や環境、社会に対する影響への配慮が確保されているか、運用を注視していきたい」と述べており、参加に慎重である旨を示しています。つまり、日本としてもAIIB内に理事会のような仕組みが作られ、社会への配慮が公正になされるようであれば、今後の参加可能性もでてきそうです。

とはいえ、日本がAIIBに参加しないことで、全く関わっていないかというとそうではありません。ADBの理事国である、日本は、AIIBとの協調融資(※)というかたちで関わっているのです。そういった意味で言うと、環境に配慮された開発案件に対しては既に、融資を行っているわけなので、参加せずともADBの総裁という立場を活かし、協調融資による協力関係は今後、拡大していくのではないでしょうか。

※「協調融資」…“「シンジケートローン」とも呼ばれ、大型の資金調達ニーズに対して、複数の金融機関が協調して協調融資団を組成し、一つの融資契約書に基づき同一条件で融資を行うことをいいます。これは、取りまとめ役(アレンジャー)の金融機関(主幹事)が、資金の調達側(企業等)と調整して利率や期間などを設定し、複数の金融機関と分担して融資する方式”

・引用元:iFinance 協調融資

https://www.ifinance.ne.jp/glossary/finance/fin033.html

その後、AIIBはどうなったのか?

発足当初からその加盟国の多さから、ADBとの比較や加盟・非加盟について多くメディアに取り上げられてきたが、その実は慎重なようで。国際機関としては着実に拡大しており、2019年時点では97ヵ国、7月12日の発表ではすでに100ヵ国を超える見込みとなっています。しかし、3年半での融資総額は約84億ドル(約9100億円)で当初の目標であった100億ドルを下回っており、ADB(アジア開発銀行)と比べると案件数は1/30ほどです。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)等との協調融資が6割を占め、比較的リスクの少ない融資を行っているようです。

また国別でみると、インドやインドネシアなど南アジア諸国への融資案件が多くをしめており、また、エネルギー・運輸分野の案件が多い。その裏側には、AIIBが習近平政権の「一帯一路」を成すための資金提供手段となってきたことがわかるでしょう。AIIBは今後数年の間でさらに融資を拡大し、10倍の規模を見込んでいるとしています。今後の拡大を考える上では、欧州加盟国との協調支援と、偏った国ばかりへの融資だけではなく、融資を期待する加盟国への早期融資を通じて信用を形成していくことが期待されています。

まとめ

AIIBは、中国主導の国際金融機関です。その背景には、習近平政権の「一帯一路」の構想と、これまで発展途上として支援される側だった中国が、世界2位のGDPを誇る経済大国になり力を持ったことがあります。見えてくるのは、世界1位のアメリカとの対立構造です。ある意味で中立色の強くなった日本ですが、「支援側」として立つ日本のノウハウを活かし、両者間で影響力を持てると良いかもしれませんね、いずれにせよ、アジア諸国における発展基盤になりうるAIIBには今後も注目していきたいところです。

▼参考

・Digima

「AIIB」の現在と今後の展望 | 中国主導のAIIBに日本が参加しない理由とは?

https://www.digima-japan.com/knowhow/china/6141.php

・日本経済新聞

2019/7/12  AIIB、加盟100カ国・地域へ 中国の影に警戒も

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47323550S9A710C1FF8000/

・産経新聞

AIIB、間もなく開業から3年 日本、参加への慎重姿勢変わらず

https://www.sankei.com/politics/news/190113/plt1901130006-n1.html

・iFinance 協調融資

https://www.ifinance.ne.jp/glossary/finance/fin033.html

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