世界で勝ち抜くマーケティング分かる、見つかる

政府も推進するアニメツーリズムの可能性と限界について

日本の観光資源を積極的にPRしていく施策の1つに、アニメツーリズムの存在が挙げられます。アニメツーリズムは、その名の通りアニメに登場したスポットを訪れる旅行のことを言い、いわゆる「聖地巡礼」を形式的に表現したものです。

今回はそんなアニメツーリズムがどれくらい積極的に取り組まれているのかや、その目的、そして懸念事項についてご紹介していきます。

アニメツーリズムとは

「聖地巡礼」とも呼ばれるアニメツーリズムですが、元々はファンの間の中でこっそりと楽しまれていたのが発端です。

しかしアニメ産業が積極的に海外へ輸出され、国内でもポピュラーなエンターテイメントとして成熟していったことで、アニメは日本が推進するクールジャパンの先鋒となり、アニメツーリズムは政府の支援も受けながら進められることとなっていきました。

アニメ業界の推進と地域の発展

2016年に発足したアニメツーリズム協会の概要を見てみると、この施策の目的としてあげられているのがアニメ業界と地域の発展です。

アニメツーリズム協会の概要:https://animetourism88.com/ja/shadan/about

日本のアニメ人気はもはやワールドワイドな規模へと発展していますが、アニメに登場する地域やスポットが実際に存在しているということは、これまでファンの間で密かに語られるだけということも少なくありませんでした。

しかしアニメツーリズムを本格的に振興していくことで、アニメに登場する地域を積極的にアピールし、アニメをより深く楽しみ、そして「アニメに登場したあの場所に行きたい!」と国内外のファンに興味を持ってもらえるよう、に推進していくことが主な活動です。

アニメ聖地の指定

アニメに登場する実在のスポットを「聖地化」することもアニメツーリズム協会の施策の1つです。

テーマとなった実在する地域をオフィシャルに公言し、アニメの存在ありきでその地域をプロモーションしていくことで、その場所に「アニメに登場した」という意味づけを行い、新たな観光資源として発展させていくというものです。

協会ではすでに88箇所のスポットをオフィシャルに聖地化しており、聖地をつなぐ周遊ルートの確立も行なっています。

このような交通にも影響を及ぼし、官民共同でアニメを通じた町おこしならぬ、「国おこし」が行われているのがアニメツーリズムの現状とも言えるでしょう。

アニメツーリズムに期待されること

内閣府が発表している資料によると、アニメツーリズムに期待される効果はいくつもあることがわかります。

内閣府:アニメツーリズムの推進
https://www.cao.go.jp/cool_japan/local/seminar1/pdf/siryou1-2.pdf

聖地の集客から地域への消費へ

1つは聖地での集客が、その地域への消費につながるというフローです。

聖地を訪れるアニメファンは、アニメに登場したスポットを見るだけで帰るということはほぼありません。せっかく訪れた場所なのですから、その地域の他の観光スポットや食事、さらには宿泊施設なども楽しんでから帰ろうとするのが自然です。

アニメツーリズムの推進には、この聖地から地域資源への導線を上手く設計することも施策のうちに含まれます。

例えば近くのお土産屋で聖地に関連したグッズを取り扱ったり、現地の観光ツアーにその聖地を取り込み、他の観光スポットも堪能してもらえるようにプログラムするなど、できることは無数にあると言えます。

これまでは光が当たらなかった地味なスポットでも、人気アニメに登場すれば一躍脚光をあびることもあるため、全く新しい観光戦略を用意することも必要になってくるでしょう。

インバウンド集客への期待

また、海外からの旅行客も、地域に「聖地」が誕生することで飛躍的に増加することが考えられます。

自分が好きな作品に登場したものは、実在するなら一度は足を運んでみたいと考えるのがファンの心理です。熱心なファンが、これまで海外旅行者の観光地としては見向きもされなかったような場所に訪れると、彼らがインフルエンサーとなってその地域の様子をSNSを通じて拡散してくれます。

するとアニメの聖地以外の点でその地域に注目が集まり、ファン以外の観光客が詰めかけるということも想定されます。

アニメを発端にして、その地域全体のインバウンド集客が増大するという流れが期待できるでしょう。

公共事業に依存しない地域振興

また、アニメは既存の観光資源を有効活用することになるため、これまで地方振興の要とされてきた公共事業に頼らなくても良いというのも大きなポイントです。

既存産業では需要が少なく、交通インフラや住宅の建造によって内需を生み出さずとも、プロモーション施策を推し進めることによって新しい観光資源を創出し、結果的に宿泊や飲食業、交通の需要を生み出していくことができるほど、アニメツーリズムのポテンシャルは高いということができるでしょう。

アニメツーリズムで懸念されること

このように、アニメツーリズムには多くのメリットを期待することができますが、一方で急激な観光客の増加により懸念されていることや、聖地化に失敗した事例も登場しています。

地域の秩序悪化

急な観光地化により懸念されているのが、地域の秩序や治安の悪化です。アニメツーリズムは何気ないスポットを観光地化してしまうことも含んでおり、閑静な住宅街に観光客が大挙して訪れるということも考えられます。

そうなると、これまでその地域は静かで落ち着ける場所であることがブランドであったり、地価に良い影響を与えていたこともあるため、聖地化してしまえばかえってその地域の価値を下げてしまうこともあります。

そういった懸念材料をしっかりと検討しつつ、聖地化の前には自治体や地域の住民の声もしっかりと拾っていくことが必要になります。

聖地化失敗の懸念とその理由

あるいは、そもそも積極的な聖地化の推進が「聖地化」の失敗につながるケースも考えられます。

ロボットアニメ「輪廻のラグランジェ」に登場したスポットである鴨川は、公式に鴨川の存在をあまりに強く露出させすぎたために、ファンからはそれがかえって「押し付けがましい」と悪印象を持たれてしまったというケースが見られました。

参考:withnews「『オタなめんな』と言われた鴨川 『聖地失敗例』の誤解と成功」
https://withnews.jp/article/f0171229008qq000000000000000W02q10601qq000016440A

そもそもこの事例は、自治体が「鴨川をアピールしてほしい」とアニメ製作陣に声をかけたわけではなかったそうです。

むしろ制作側が自主的にあからさまな鴨川の露出を行なったそうですが、視聴者からすれば「鴨川来てほしさにあざといアピールをしている」と取られてもおかしくない描写があまりにも多すぎたために、鴨川がひんしゅくを買ってしまったという事例でした。

しかしそれでも、結果的にこのアニメも作品としては成功を収め、多少の炎上があったとはいえファンにも喜んでもらうことができたようです。

ファンの満足度を獲得しつつも、地域をアピールするためには、ファンの心理をしっかりと掴むことが重要だということを示す事例だったと言えるでしょう。

おわりに

アニメツーリズムは今後ますます進んでいくと考えられる施策で、クールジャパンの名の下に政府も積極的に後押しを進めています。新しい町おこしの看板として、近い将来、いたるところに聖地が現れてもおかしくないでしょう。

Globalizeを運営するグローバルデジタルマーケティングの株式会社LIFE PEPPERでは、海外向けのマーケティングを戦略設計から実行までお手伝いしています。訪日外国人の客足に伸び悩みを感じている・海外向けの販売をもっと伸ばしたいなどのご要望がございましたら、お気軽にご連絡ください。
LIFE PEPPERの厳選事例48選をダウンロード 会社紹介ダウンロード 無料相談へ