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中国、台湾への個人旅行禁止 実際の影響は?

中国政府は8月1日から本土の47都市の住民に対し、台湾への個人旅行を禁止すると発表しました。
2016年に蔡英文政権が発足してから、政府は経済的締め付けとして台湾への観光客抑制に向けて動いてきましたが、今後どのような展開が予想されるのでしょうか。実際に、ピーク時に比べて140万人以上の減少が発生している台湾においては、中国人観光客(陸客)への依存を脱却するべく、「新南向政策」を進めています。
この記事では、そんな旅行禁止のニュースの概要や背景、今後の動向について紹介していきます。

中国、台湾への個人旅行禁止

中国政府が発表した、台湾への個人旅行禁止の発令。まずはその概要から見ていきましょう。

個人旅行禁止のニュース概要

7月31日、中国文化観光省は、本土の47都市に在住する中国国民に向けて、8月1日より台湾への個人旅行を認めないという発表をしました。

引用:ロイター「中国、台湾への個人旅行を禁止 台湾は反発
https://jp.reuters.com/article/china-taiwan-tourism-idJPKCN1UR37R

発表からわずか1日後に施行という、急なスケジュールとなっていますが、1日以前に設定された個人旅行は問題とならず、それ以降に台湾へ旅行するためには団体での申し込みが必要になるというルールの変更があったようです。
中国人の台湾への旅行は、もともと他国に比べて制限の多いものでした。このルールが適用される以前から、個人旅行は上海や北京をはじめとする47の都市の中国人に限られており、別個に許可を取る必要がありました。

今回の決定を受けて、中国国内からでは事実上、台湾への個人旅行は全面的に禁止されたことになります。

個人旅行が禁止になった理由

CNNによると、台湾への個人旅行が禁止になった理由としては、中国と台湾の関係悪化が有力とされています。

引用:CNN「中国政府、台湾への個人旅行を禁止」https://www.cnn.co.jp/travel/35140711.html

中国と台湾は緊張感のある関係を維持し続けてきましたが、ここ数年は軟化の傾向にありました。
しかしアメリカによる兵器の台湾への売却や、台湾の指導者である蔡英文総裁のアメリカ訪問といった、対米関係の深まりを巡って再び緊張は高まりを見せていきました。

また、現在も香港で継続している民主化デモに対しても台湾は公式に支持を表明しているだけでなく、来年に選挙を控える蔡英文総裁も続投を望んでいることから、中国に対しては強硬な姿勢を貫く様子が伺えます。
中国政府も台湾に対しては厳しい態度を強めており、台湾沿いの海岸での実弾軍事演習や、7月に発表した「国防白書」において、台湾の現政権を「脅威」と位置付けるなど、軍事的なプレッシャーをかける様子が伺えていました。

また、台湾が香港の民主化デモを肯定的に受け止めている点も看過できるものではなかったということで、強い不快感をあらわにしています。民主化運動を容認する姿勢は中国共産党の一党支配を否定するものでもあるため、政府としては断固として拒否しなければならないためです。中国とアメリカは経済的にも対立を深めており、アメリカとの距離を縮める台湾の姿も、いつも以上に警戒心を煽る結果となってしまったのです。

台湾による親米意識の高まりと香港の民主化デモ。この2つが重なったことで、今回の事態に陥ったと考えることができるでしょう。

中国と台湾の関係

台湾はそもそも、中国本土の共産支配を拒否する形で建国に至り、今日まで独立を主張し続けている、非常にセンシティブな国家です。

歴史的背景

中国と台湾の成り立ちの歴史について、簡単に見ておきましょう。

第二次世界大戦、および太平洋戦争が集結した1945年以降、中国国内における中華民国と共産党の内戦は激化し(国共内戦)、共産党率いる人民解放軍が大陸において支配地域を拡大させていきました。

弱体化した中華民国政府は台湾へ撤退し、中央政府を台北に設置。大陸では共産党によって中華人民共和国が建国され、台湾の吸収を図って幾度となく軍事干渉を行いつつも、今日に至るまで厳しい関係が続いています。
国の名称も厳密に言えば中華民国であり、台湾というのは島の名前、あるいはその地域を呼称するものです。

国際的な台湾の地位について

厳密に言うと、台湾は実のところ国家として承認されるケースは少なく、親しい隣国とされる日本も台湾を正式には国として認めていません。これは中国による「一つの中国」という政治的立場に配慮したもので、マカオや香港と同様、台湾もまた中国の一部であることを主張する考え方です。
台湾は国連にも加盟されておらず、常任理事国である中国の影響がこの点においても大きいと考えられており、国際的な地位は非常に限定的なものとなっています。

また、最近の関係悪化を受けて、中国も台湾に対する外交圧力を極端に強めており、中国の影響力が強いソロモン諸島やキリバスといった南太平の国々は、雪崩式に台湾との断交を発表しています。

引用:時事ドットコム「中国とソロモン諸島が国交=「雪崩式断交」で台湾圧迫」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019092100524&g=int

ただ、国家として容認されていないものの、台湾は民主主義と基本的人権を中国に対して主張し続ける、欧米をはじめとする民主主義国家においては非常に大きな役割を果たしています。
そのため、日米韓といった関係の深い国のサポートを得ながら、絶妙なバランスで国としての権威を保ってきたのです。

今後はどうなるのか?

緊張が高まる台湾と中国ですが、観光については前向きなニュースも少なくありません。

実際の影響

まず個人旅行が禁止された影響について見ていきましょう。
個人旅行が禁止されたということで、個人客が利用するタクシーの売り上げなどはすでにやや減少しているとのことです。
しかしながら団体での旅行は許可されているので、ホテルや飲食業など、観光全体への影響は未だ不明とされています。

引用:日経ビジネス「大陸客の個人旅行禁止から2週間強、それでもあわてぬ台湾」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/081900614/

そもそも蔡英文政権に移って以来、中国からの観光客は減少の一途をたどっており、これは中国政府がビザの発給を渋っているからと見られています。

「脱中国」を観光分野でも

台湾へ観光に訪れるのは中国からの客が最も多く、2018年は205万人と、2位である日本の140万人を大幅に上回っています。
しかしそれでも、ピーク時に比べて140万人以上の減少が発生している台湾においては、中国人観光客(陸客)への依存を脱却するべく、「新南向政策」を進めています。

これは南太平洋諸国に対する観光PR強化、ビザ免除などを盛り込んだ政策で、中国以外の周辺地域から観光客を呼び込み、新たに開拓していくというものです。
この政策が功を奏し、現在、訪台旅行者は1,100万人を突破するなど盛り返しの兆しを見せており、観光産業においては「脱中国化」が進んでいると言えます。

まとめ

台中の関係悪化は、日本人から見ても周辺国である以上、警戒してしまうニュースではあります。

しかし中国との緊張悪化を織り込んで行動する台湾の姿は、日本にとっても新しい観光やプロモーションの可能性を考えさせてくれるケーススタディになっているともいえるでしょう。

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