
テンセントはソーシャルサービスなどのWebサービスを提供している中国の企業です。
ニュースなどでもよく耳にする会社名ですが、一体テンセントがどのようなサービスを提供しているのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
実は100%子会社が東京にあるので、意外と身近な存在になっているんですよ!
今回は、テンセントがどのような会社なのかについて紹介します。
この記事を読んで、テンセントの強さに触れてみましょう。
テンセントとは
テンセントは、中国大手のIT・ネットサービス企業で、広東省深圳市に本拠を置く持株会社です。
1998年に創業し、2004年には香港市場に上場しました。
テンセントといえば、「WeChat」と呼ばれる中国では必須のメッセンジャーアプリで有名です。
日本で使われているLINEのようなアプリで、中国国内でメッセージのやり取りをするには、WeChatを利用する必要があります。
そのため、中国に旅行や出張で訪れたことがある人は、利用したことがあるかもしれません。
また、企業の規模を示す時価総額を見ると、アジア企業の中で最も高く、2019年の8月時点では、世界第8位にランクインしたほどです。
ソフトバンクの孫社長が投資をして成功したことで有名ですが、NYにも上場して世界的にも認められる企業になりました。
そのため、中国ではアリババグループが大きな存在感を示していますが、アリババグループの好敵手として中国経済を引っ張っています。
アリババグループはないものから何かを生み出すイノベーションに長けていますが、テンセントは既存のものをユーザーに適した形に改良してサービスを提供する企業です。
したがって、消費者のニーズを的確にとらえているので、テンセントが提供するサービスはユーザーの満足度が高い傾向があります。
テンセントの特徴
テンセントの特徴を紹介します。
把握しておくべき大きな特徴は以下の3つでしょう。
- アプリから映画まで幅広いサービスを提供
- 売上の7割がゲーム課金
- 中国モバイル決済市場を拡大
上記3つの特徴はテンセントを知る上で重要な特徴なので、中国の他企業と比べるポイントになるのではないでしょうか。
中国向けにマーケティングを行うのであれば、テンセントの取り組みを参考にしてみると良いでしょう。
アプリから映画まで幅広いサービスを提供
テンセントといえば、WeChatのアプリですが、他にも類似機能のメッセンジャーアプリの「QQ」や、SNSアプリの「Qzone」、「王者栄耀」などのオンラインゲームも運営しています。
また、ニュースやビデオ、音楽、ブラウザ、モバイル決済などさまざまなプラットフォームを構築して、中国国内で展開しているのです。
テンセントはプラットフォーム構築に注目しがちですが、映画製作にも力を入れています。
「テンセント・ピクチャーズ」と呼ばれる映画部門を配置して、書籍やコミック、ビデオゲームなどの原作から映画を製作しているのです。
制作映画の中から、「ワンダーウーマン」や「キングコング:髑髏島の巨神」「ヴェノム」など、世界中で大ヒットした作品も登場しています。
他にも、日本のサブカルチャーとして定着しているアニメの制作も行っており、現在は原作から映像化することに特化しています。
今後はオリジナル映画やアニメの製作にも力を入れると公表しています。
ゲーム課金が売上の7割
テンセントは「テンセントゲームズ」と呼ばれるゲーム制作事業が中心で、なんと売上の7割がゲーム課金と言われています。
テンセントのアプリの収益は世界一と言われており、アクティビジョン・ブリザードやユービーアイソフトなど他のゲーム会社の大株主でもあるのです。
ゲームの売上高だけを見れば、マイクロソフトやソニーを抜いており、日本で有名な「任天堂」の3倍です。
なぜこれだけの売上をゲームで確保できるか疑問に思う人もいるでしょう。
実は、テンセントは大ヒットゲームの開発を主軸にしているわけではなく、無料サービスから効率良くユーザーを確保することに力を入れているのです。
テンセントには中国で必須のアプリであるWeChatやQQといった無料優良サービスを提供しているので、自然と多くのユーザーが集まります。
そして、集まったユーザーに開発したゲームをお試しでプレイしてもらい、ゲーム課金につなげているのです。
さらに、利用したユーザーがSNSでゲームを広げてくれるので、結果的にユーザー数を爆発的に増加させることができます。
この仕組みでテンセントは経済成長に成功したと言っても過言ではないでしょう。
中国モバイル決済市場の拡大
テンセントは中国のモバイル決済の市場拡大に一役買っています。
中国では日本よりもモバイル決済が浸透しており、その中でもWeChatPayを利用する人が急増しているのです。
従来の中国のモバイル決済を支えてきたのは、2014年に79%のシェアを締めていたアリババが提供しているサービス「アリペイ」でした。
しかし、2016年には50%まで低下し、WeChatPayが38%と頭角を現してきたのです。
そして、2017年にはWeChatPayのユーザー数がアリペイの2倍以上の8.3億人まで成長。
レストランや買い物ではもちろんのこと、タクシーや理髪店など利用できる市場が拡大したことも影響し、利便性からWeChatPayを利用する人が増えました。
もともと、WeChatのユーザー数が多かったことも、モバイル決済利用者が急増したのではないでしょうか。
日本でもLINEのメッセンジャーアプリに付随しているLINPayを利用する人も多いですよね。
1つのアプリで複数の便利機能を使えることが、テンセントの大きな強みと言えるでしょう。
■参考:知られざるアジアNo.1企業「テンセント」の強さを探る
今後の課題
中国では政府により外国製のサイトやアプリの利用が規制されています。
テンセントが急成長できたのは、政府の規制により国内で使えるサービスが限定されていたからです。
世界最大の人口を国内で独占できたことが、テンセントが急成長できた要因でしょう。
この時点で世界規模の企業まで成長できたのですが、これ以上成長を求めるのであれば海外を視野に入れる必要があります。
しかし、世界に出ると今までのようにユーザーを確保することが難しいでしょう。
中国国内では独占だった市場でも、海外に出ると多くのライバル企業がひしめいています。
世界中にはFacebookやTwitterなどの海外製の魅力的なサービスが溢れているので、国内にはなかった企業との争いに勝っていく必要があるのです。
サービスの多様化が進んでいる世界の中で、テンセントがいかに魅力的なコンテンツを提供できるかが大きな課題となるでしょう。
まとめ
テンセントはIT・ネットサービス企業で、時価総額がアジアでトップです。
好敵手としてアリババが立ちはだかっていますが、モバイル決済に関しては他を寄せ付けないほどの圧倒的な強さを持ち合わせています。
さらに、売上の約7割がゲーム事業によるもので、WeChatなどのメッセンジャーアプリからゲームに移行させることを得意としています。
アジアの企業の中では右に出るものはいないほどの強さを誇っていますが、更なる成長を求めて海外に目を向けることになるでしょう。
いかにして海外の優良サービスに打ち勝っていくのか、楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
中国を対象にマーケティングするのであれば、テンセントの方針は参考になります。
インバウンド対策にもなるので、テンセントのサービス内容をチェックしてみてはいかがでしょうか。
海外向けのマーケティングでお悩みはありませんか?
Globalizeを運営する株式会社LIFE PEPPERでは、細かい施策や改善だけでなく、戦略設計から実行を含めた「ビジネスの成果」に繋がる海外向けのマーケティングをご提案します。
海外向けのマーケティングでお困りの方はこちら