これからの日本のインバウンドビジネスと成功するための方法

海外からの訪日客をターゲットにしたインバウンドビジネスは、2020年の東京オリンピックを控え、ますますその注目度を高めています。これまで日本人向けのモノ・サービスと提供するものは変わらなかったのが、なぜ今になって「インバウンド」という分類が広くなされるようになったのでしょうか。

今回はそんな日本におけるインバウンドビジネスの進め方や、実際のビジネスモデルを元にした、インバウンドビジネス成功の鍵についてご紹介していきます。

これからの日本のインバウンドビジネス

これからのインバウンドビジネスというテーマが、最近になってしきりに叫ばれるようになりました。昔から訪日外国人向けのサービスなどは日本にもありましたが、従来のそれや、日本人向けのビジネスとはどう違ってくるのでしょうか。

 現在の日本の観光事情

日本へ世界各国から観光客が集まるという話はよく耳にしますが、これは実感だけでなく実際に統計データにも表れています。

観光庁が2019年の4月に公開した統計によると、2019年の1~3月における訪日外国人の消費総額は1兆1,132億円となっています。

参考:プレスリリース:調査結果の発表 2019年4月17日

http://www.mlit.go.jp/common/001285986.pdf

たった数ヶ月で1兆円レベルの消費が外部からもたらされるというのは、消費が落ち込んでいる日本にとってはありがたいことこの上ありません。また、2018年の訪日外国人の旅行消費額は年間4.5兆円以上にのぼっており、観光資源は外貨獲得における重要なリソースとなっているのです。

参考:調査結果の発表(確報) 2019年3月29日

http://www.mlit.go.jp/common/001283138.pdf

そして海外といっても割合として多いのは、中国人をはじめとする東アジア、および東南アジアからの観光客です。彼らの国において経済成長が進み、中流層が増加していると同時に、日本では比較的円安の経済状況が続いているため、訪日が容易になっていることが挙げられます。

また1つ目の資料を読み込んでみると、訪日観光客の全体的な消費支出はやや低下しているものの、旅行客の数自体は大きく増加しています。特にベトナムからのインバウンドは前年比の40%増しとなっており、今後も東南アジア地域を中心として多くの観光客が訪日することが予測されます。

日本のインバウンドビジネスのターゲット

東南アジアやインバウンドと一口に言っても、ミクロの視点で見れば観光客の出自や文化は様々です。そのため、訪日客に多いのはどこから来た人たちなのか、あるいは自社で考えているビジネスに需要のありそうな訪日客は、どういった人たちなのかを理解する必要があります。

前述の通り、一般的に日本を訪れる海外からの旅行者で最も多いのは中国人です。2018年は中国人観光客のみで1.5兆円もの消費が日本で行われており、今や日本全国の観光名所のどこへ行っても彼らを見かけない日はありません。

台湾や香港、韓国からの観光客も依然として多いのですが、無視できないのが東南アジア各国からの訪日客です。東南アジアは1つ1つの国自体は小さく、言語や文化も異なるのですが、インドネシアやタイ・ベトナム・シンガポールなど、いずれの国も中流層が急激に増加しており、ビジネスだけでなく観光で日本を訪れる人も増えています。

あるいはさらに西へ行ってインドからの訪問客も増えていますが、彼らの習慣や言語はかなり地域差が大きいため、あらかじめビジネスプランがある場合は、その商売がどこの国の人に人気がありそうなのかをある程度調べておくとよいでしょう。

欧米に関しても、人の数はアジアに及ばないものの増加傾向にあり、アメリカやフランスの10%増加は目立ちます。そして意外なのがロシアからの観光客増加で、2019年の1~3が月には前年比20%増しの2.3万人を記録しています。

インバウンドビジネスに活用できる観光資源

 日本ではモノ消費からコト消費へ、つまり何か物を購入するのではなく、経験やサービスにお金を払いたいという人が増えているという現象が話題になっていますが、これは訪日観光客も同様です。

中国からの「爆買いブーム」がひと段落をつき、越境ECの発達や円安効果で、ある程度日本の製品が海外に出回るようになりました。今日本を訪れる観光客は日本の製品を買うことは二の次に、日本でしかできない体験を求めてやってきているという話があります。

上に挙げた2018年のデータを参考にすると、買い物消費は依然として観光客における支出の多くを占めていますが、2017年から2018年にかけて、およそ635億円の現象が見られます。

その代わり、娯楽サービスや飲食・宿泊費に支出が分散しており、東京での買い物ではなく日本各地の観光スポットでのサービスなどに消費がシフトしていると読み取ることもできるでしょう。

日本は世界でも優れた公共サービスを全国的に提供することでも評判が高いため、よりコト消費の傾向は強まっていくと考えられます。

インバウンドビジネス成功の鍵

このようなトレンドの変遷の中で、どのようなインバウンドビジネスを展開していくことが求められるようになるのでしょうか。

訪日外国人の動きをデータで観測

Sorabatake 「インバウンド成功の鍵」によると、1つ目はデータの観測です。

参考:

https://sorabatake.jp/182/

衛星データやSNS、統計メッシュデータを活用し、空港や観光地の位置から観光客の導線を予測し、SNSで注目集めているスポットのチェック、統計データによるマクロな人の移動や数の確認など、大小問わずデータとして押さえておくことです。

インバウンドの法則

  2つ目にインバウンドの法則です。これは日本人観光客が1,000~1万人宿泊する観光地には訪日外国人も利用するという法則で、日本人が集まるところに外国人あり、という仕組みを理解しておく必要性が説かれています。

海外からの観光客を集める場合、まずは日本人による評判を集めておかなければなりません。インバウンドビジネスだからといって、外国人に特化するよりも、日本人の人気も集められることが重要な要素になります。

インバウンドビジネスの成功例

最後に、実際にインバウンドビジネスでの成功事例を見ていきましょう。

成功事例①:飲食・接客業

飲食店での例を挙げると、例えば浅草のお好み焼き屋、「つる次郎」が挙げられます。

お好み焼きは海外では見慣れない食べ物としてよく取り上げられる日本食の代表格ですが、Youtubeへ焼き方の動画をアップし、初めてでも戸惑うことなく焼き上げることができるようにしています。

https://www.youtube.com/watch?v=C7Qt1RzzpiM

日本へ訪問する前から、「このお店に行ってみたい!」と思わせることができるのはインターネットや動画メディアの大きなメリットです。

飲食に限らず、接客業に多いのはアリペイやクレジットカードのような、キャッシュレス決済に対応する施策です。

インバウンド需要の高い薬局業界の中でも、「マツモトキヨシ」は特に早い段階からインバウンド施策を推し進めてきました。

中国語対応スタッフはもちろんのこと、アリペイ対応や免税サービスなど、特に外国人に対するサービスが充実している薬局と言えます。

https://www.matsukiyo.co.jp/store/online

成功事例②:自治体

店舗だけでなく、各自治体でも対策は始まっています。

例えば徳島県三好市の祖谷などは、都会とは離れた場所にありながら年間二万人もの訪日客が訪れる観光名所となっています。

https://www.jtb.co.jp/inbound/case-study/2019/miyoshi-iyakei/

交通の便の悪さを逆手に取り、その秘境らしさを存分にアピール。10年前と比べ、20倍近い訪日客が訪れるようになったそうです。

逆に都会からアクセスの良い観光名所は訪問者に制限をかけるケースも出てきています。例えば東京からアクセスしやすい鎌倉などは住民優先を市が主導で行うオーバーツーリズム対策が進んでいます。

https://www.excite.co.jp/news/article/Hounichi_kamakuraovertourism/

こう行った状況も相まって、日本各地の秘境に外国人観光客も訪れるようになっているわけですね。

成功事例③:ブランディング

ブランディングにおいては、日本人の目ではなく外国人から見た視点が重宝されています。こと消費需要に注目し、海外の観光客が求める日本らしさはどのようなものか、を自社サービスや地域資源のPRに落とし込む施策が見られます。

日本から確認することはできませんが、例えば「がんこ寿司」は中国のSNSであるWeiboで積極的なPRを行い、どこでも本格的な和食が楽しめる店というイメージとブランドを中国に定着させつつあります。

https://www.gankofood.co.jp/

まとめ

施策は企業によって様々ですが、インバウンド向けに既存ビジネスをシフトさせることはそこまで難しい話ではありません。新規ビジネスを外国人向けに展開するのではなく、今あるものをいかにして外国人に注目されるようにするのかを考えるのが、インバウンドビジネスにおいては重要になりそうです。

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