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地方創生の新しいカギ?洗肺のため日本に殺到する中国人観光客

中国人のインバウンド観光客は、日本の観光産業にとっては大きな存在となっていますが、彼らもその時々によって様々なものやコトを求めて日本を訪れます。

今中国人旅行者の間で注目を集めているのが、洗肺(シーフェイ)と呼ばれる観光です。新鮮な空気を求めて海外旅行に赴く中国人は、現地でどのような体験や商品を求めているのでしょうか。

今回はそんな中国人旅行者の洗肺についての概要についてご紹介していきます。

洗肺とは

洗肺は、「肺を洗う」と書いている通り、身体の中の悪い空気を追い出し、身も心もリフレッシュして母国へと帰っていくためのツーリズムです。

中国で広がる「綺麗な空気」需要

中国は経済発展が著しい反面、それを支えるための工場などから排出されるガスや汚水、あるいは発電のために大量に消費される石炭・石油から発生する温室効果ガスが、空気の汚染へと大きく繋がっています。

これらが原因で、北京をはじめとする中国の多くの地域では、もはやまともに空を見ることが非常に難しいレベルで空気汚染が進んでいます。PM2.5や光化学スモッグなど、日本でも馴染みのある公害の多くは中国から風に乗ってやってくる物質が引き起こしていることもあるものです。

日本人は飛来してくる物質にたまに苦しい思いをする程度で済んでいますが、問題なのは現地に住む中国人です。

彼らは毎日のように汚染された空気を吸うことになりますから、肺炎や呼吸器系の病気を引き起こすリスクも、日本に比べてはるかに高いと言えるでしょう。

洗肺はそんな空気汚染に悩む中国人に、大きな評判を博している観光プランの1つです。中国では得られない新鮮な空気を、目一杯に楽しむことができるのが最大の魅力となっています。

モノよりも「癒し」を求める中国人

これまで中国人旅行者の間で親しまれてきた日本の楽しみ方は、爆買いに代表されるようなショッピングはもちろんのこと、ディズニーランドやUSJといったテーマパークへ遊びにいき、京都や大阪、そして東京といった街を巡るツアーです。

しかしながら、中国人が大型連休を活用して足繁く訪れているのが、日本をはじめとする洗肺向けの国々です。ブーケットやバリ島など、工業的な中国とは異なり、欧米人もリゾートを求めるような場所を訪れることで、モノを購入するよりも綺麗な空気と癒しを求めて海外を目指す中国人が増加しつつあるのです。

参考:AERA「爆買いの次は『洗肺(シーフェイ)』? 中国人旅行客の新たなブーム」

なぜ洗肺が流行するのか

次に、中国人に洗肺が受け入れられている理由について、見ていきましょう。

深刻な大気汚染

前述の通り、中国人が洗肺へと海外へ出かけていくのは、深刻な大気汚染の影響があります。

人によっては生まれてから今日まで青く広がる空を中国では見たことがないという人もいるように、中国では大気汚染によって年中空が暗いということも珍しくありません。

このような環境が身体に悪いということも中国人は自覚しており、空気清浄機やスキンケア用品など、健康関連の商品も都市部の人間を中心に売り上げを記録しています。

洗肺もまた大気汚染対策の一環として広く受け入れられつつあり、青い空の下で気がすむまでリフレッシュできる時間を、現代の中国人は強く望んでいるのです。

訪日が以前よりもずっと簡単に

洗肺の旅行先として日本が選ばれているのは、日本の地方都市が洗肺に最適な環境であることはもちろんですが、制度上中国からの訪日が行いやすくなってきている点も理由として挙げられるでしょう。

これは洗肺に限らず訪日中国人全般に言えることですが、日本の中国人観光客が年々増加しているのは、政府が中国人むけのビザの発給手続きを簡素化したり、免除する仕組みを充実させてきていることも大きいと言えます。

参考:外務省「中国国民に対するビザ発給要件等の緩和 」

ニュースだけを見ていると、日本と中国の間柄には緊張が走っているような印象も受けますが、こういった緩和措置が進んでいる様子を見ると、必ずしも両国の関係はそこまで悪くないどころか、むしろ緊張緩和が進んでいる様子も伺うことができます。

洗肺のために中国人が訪れる場所

そんな中国の洗肺ブームによって日本への観光客も増えている今日ですが、彼らが実際に訪れているのは意外なスポットです。

たどり着いた先は佐賀県

洗肺向けの観光地として中国人が選ぶのは、佐賀県です。データによると、中国がメーデーの連休中には上海発佐賀空港行きの飛行機が大きな人気を博し、2012年には6千人程度だった中国人観光客の数は、2018年には5.8万人もの規模に増大しているそうです。

参考:AERA「爆買いの次は『洗肺(シーフェイ)』? 中国人旅行客の新たなブーム」

佐賀県だけでなく、九州地方は東京などに比べると距離も近いため、中国人にとってもいきやすいということが大きいのですが、佐賀県は都市部は平均的に発達しているだけでなく、都市部を離れると豊かな田園風景が広がっていたり、嬉野や武雄などの温泉街が存在していることも大きな要因となっているようです。

中国では失われつつある昔ながらの桃源郷の姿を、佐賀県に見いだしつつあるのが大きな転換点となっています。

漢方薬の売り上げも上々

佐賀県の空気を楽しむだけでなく、日本各地の消費動向からも洗肺ブームの影響を見いだすことができます。

薬局は各地で観光客が押し寄せる人気買い物スポットの1つですが、特に洗肺観光客に評判なのが、咳や痰の症状を抑えるための漢方です。漢方薬の「ダスモック」は特に中国人観光客から人気のある商品の1つで、インバウンド売り上げの8割が中国人となっているそうです。

爆買いブームの際は日本の家電製品などがよく購入されたものですが、今となっては深刻な健康被害から逃れるための手段や体験を提供することが、日本の中国人観光客向けの需要にシフトしつつあるとも言えるでしょう。

おわりに

洗肺は近年頻繁に見られるようになった、中国人ならではの海外旅行のトレンドです。

まだまだ都市部への旅行者が多いことは一目瞭然ですが、これから地方へと観光客を分散させていく中で、中国人が体をリフレッシュできるためのリゾートを提供できるサービスを拡充させていくことができれば、効果的な観光資源の活用も期待できるようになるでしょう。

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