インバウンドのコト消費とは?トレンドとその未来

従来は三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、掃除機)や通称3C(乗用車、クーラー、カラーテレビ)に象徴されるような、モノの所有に価値を見出すモノ消費が主でした。

しかし時代が変化することで、生活に必要なモノは揃っており所有物ではなく得られる経験に重きを置く「コト消費」が注目されてきました。

それではコト消費には具体的にはどんな例があるのでしょうか?またコト消費のトレンドやインバウンドとの関係についても解説します!

コト消費の具体例

現代では、音楽や動画の定額制サービスなど、デジタル上で簡単にコンテンツを手に入れられるようになったことで、24歳までの若者を中心に、モノを所有することへのこだわりがなくなってきました。
その一方、スポーツ観戦やコンサート、映画館で映画鑑賞など、そこに行かなければ体験できないコト消費にお金をかけるようになってきています。

では、これから、コト消費として具体的にどのようなものがあるのか、最新の事例をご紹介したいと思います。

複合型書店

2011年、代官山にオープンしたT-SITEは、蔦屋書店を中心とした複合型書店で、コト消費の先駆けしたお店です。

今までの書店は本を買うために訪れるのがふつうでしたが、T-SITEに訪れる人は本そのものよりも、その場の空気感に浸り、リラックスする目的の方が多いようです。

今でも週末には混雑するT-SITEは、台湾にある誠品生活を参考にして作られました。誠品生活は、チェーン書店・誠品書店が運営する複合型書店です。今年11月にオープンするコレド室町テラスに、誠品生活が日本初出店することが決まりました。

運営にとりかかるのは、昨年オープンした東京ミッドタウン日比谷内に位置し、居酒屋や床屋などが出店する昭和レトロを再現した複合型書店、ヒビヤ セントラル マーケットをプロデュースしたチェーン書店・有隣堂です。

チームラボ ボーダレス

チームラボの光アートを楽しめる、常設の体感型ミュージアムです。

会場で撮影した写真はインスタ映え間違いなしです。作品に包まれながらアート鑑賞できるだけでなく、遊べるスペースやカフェスペースもあります。

ボーダレスはトリップアドバイザーで話題になったこともあり、インバウンド向けのアトラクションとしても大人気です。

刀剣ブーム

刀剣女子とは、「刀剣乱舞」というPC版ブラウザゲームをきっかけに、全国の刀が展示された博物館を訪れたり、そのキャラクターが登場する2.5次元ミュージカルや舞台を見に行ったりする女子のことです。

「刀剣乱舞」のヒットは、今まであまり注目を浴びていなかった刀が注目を浴びるきっかけになったと共に、ポケモンGOのように、ゲーム好きの女子が外出するきっかけを作りました。

ベルサンパティック

ベルサンパティックとは、昨年の日本橋高島屋のリニューアルに伴い新しく誕生した体験型化粧品売り場です。

ネイルアートやネイルケア、ヘッドスパ、ヘアスタイリングなどを少しの空き時間で体験することが可能で、日本橋高島屋より以前にオープンした高島屋横浜店のショップにはカフェも併設されています。

インバウンドにおけるコト消費。その具体例には何がある?

ここまでは昨年話題になったコト消費についてご紹介してきましたが、インバウンドでも、国内と同じくモノ消費よりもコト消費にお金をかけるケースが増えてきています。

その理由としては、日本へ旅行するのリピーターが増えて、有名な観光地を回ったり、買い物したりするだけでは飽き足らなくなったことが挙げられるでしょう。

インバウンドのコト消費としては、このような具体例があります。

しまなみ海道サイクリング

しまなみ海道は、台湾の自転車メーカー・ジャイアントの会長がサイクリングしたことで話題になりました。広島県尾道から愛媛県今治まで続く、瀬戸内海をまたぐ約70kmの道で訪日外国人にも人気のルートです。

しまなみ海道以外に、岡山県の備前一宮駅(または岡山駅)から総社駅までの吉備路自転車道のサイクリングも訪日外国人に人気があります。

歴史ある道を歩く

特に欧米系の訪日外国人を中心に、中山道の馬籠宿から妻籠宿まで、熊野古道、四国遍路などのウォーキングが人気です。

車関連のアクティビティ

日本には、車好きの訪日外国人も多く訪れます。

特に多いのが、鈴鹿サーキットで開催されるF1グランプリを見に日本を訪れる訪日外国人です。

また、漫画「頭文字(イニシャル)D」の影響などでドリフト好きの人も多く、福島のエビスサーキットまでドリフト体験に行く人や、横浜の大黒埠頭で毎週末に開催される車の集会を見に行く人やトヨタや日産などの博物館や工場の見学をする人もいます。

聖地巡礼

アニメや漫画の舞台を巡る聖地巡礼は、訪日外国人にも人気です。

特に「スラムダンク」の舞台として知られる、江ノ電の鎌倉高校駅踏切は、いつも多くの訪日外国人が、江ノ電と海を同時に撮影しようと写真待ちしています。

「君の名は。」の舞台を巡る聖地巡礼も特に中国人に多いです。

和の体験

日本の文化体験をしたい訪日外国人も多いです。

大分県杵築市は2011年に着物体験を始め、2016年には年間約10,000人と開始当初の11倍以上の利用者数となりました。

福島県会津若松市の侍体験、三重県伊賀や滋賀県甲賀などでの忍者体験が人気です。

動物に会いに行く

外国では珍しい、猫カフェやうさぎカフェなどを訪れる訪日外国人は多いですが、もっと動物と触れ合いたい、という方は、猫島やうさぎ島などを訪問しています。

猫島として知られる島はたくさんありますが、その代表的な存在が、宮城県の田代島です。うさぎ島として知られるのは広島県の大久野島で、大阪や広島から日帰り旅する訪日外国人も結構います。

雪の時期は、長野県・地獄谷野猿公苑の温泉につかる猿を見に行く訪日外国人も多いです。

夜のエンタメを見に行く

日本は夜楽しむ場所が少ない、と言われていた時期もありますが、最近は夜のエンタメスポットがかなり充実してきています。

例えば、昨年大阪城近くにオープンしたCOOL JAPAN PARK OSAKAで公演が行われているKERENや京都のGEARなどは、日本文化を演出した巧みな映像とダンスを繰り広げ、訪日外国人も言葉の壁を感じずに楽しむことができます。

コト消費のこれから

コト消費が市場に蔓延したことで、次なる消費傾向として注目されているのがトキ消費という概念です。

トキ消費は非再現性、参加性、貢献性を満たす消費活動であり一緒に参加している人と一体感を味わうことができます。

例えば、

・フジロックフェスティバル、サマーソニックなどの野外ライブを楽しむ、

・渋谷ハロウィンにコスプレで参加する、

・期間限定のキャラクターカフェに出かける、

・訪日外国人の場合、川崎にかなまら祭りを見に行く、

などがトキ消費の例として挙げられます。

まとめ

観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査内の訪日外国人旅行消費額の費目別構成比によると、2017年に比べ2018年は娯楽等サービス費にかける割合は3.3%から3.8%へと上昇。その一方、買物代は37.1%から34.9%へと減少しています。

金額的には買物代に遠く及びませんが、訪日外国人がコト消費に以前よりお金をかけるようになってきていることが、この調査からわかります。

今年はラグビーワールドカップ、来年には東京オリンピックが開催されるので、今後コト消費に注目する訪日外国人は確実に増えることでしょう。

■参考

2018年(平成30年)の訪日外国人旅行消費額(確報) http://www.mlit.go.jp/common/001283138.pdf

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